西堀岳路
福島県沖の底引き網漁が1日、解禁された。東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出が先月24日に始まった中での出漁。原発事故から12年が経ち、福島県漁連では、本格操業に向けて漁獲量を増やそうとしている時期でもあり、主力の底引き網漁にかける期待は大きい。
いわき市の久之浜漁港では、日付が変わると次々に漁船が出港。朝にはタイやホウボウなどが威勢のいい競り人のかけ声とともに競り落とされた。
海水などの放射性物質濃度を調べる東電や国の検査では、トリチウムの異常な数値は確認されていない。競りに立ち会った漁協関係者は「漁獲も、値段もいつも通りで風評の影響は感じられない」とほっとした表情。「ただ、1カ月は様子をみないと」
県漁連によると、本格操業をめざす漁種の昨年度の水揚げ量約5700トンのうち、底引き網漁は約3千トンを占める。第28新章丸(12トン)の江川章さん(76)は「処理水が流れているかと思うと、ちょっと嫌だが、海に出るのは張り合いがある。もしモニタリングで異常な数値が出たら、すぐに買ってもらえなくなる。それが心配」と話した。
漁期は来年6月末まで。(西堀岳路)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル